2025年秋、ついに日本円に連動するステーブルコイン「JPYC」が正式に発行されます。
暗号資産市場では米ドル建てのステーブルコイン(USDT、USDCなど)が主流でしたが、日本円に価値を固定したトークンが登場することで、国内Web3・ブロックチェーン決済の新時代が始まろうとしています。
この記事では、JPYCの仕組み、導入のメリット、他のステーブルコインとの違い、そして将来的な可能性までを詳しく解説します。
目次
ステーブルコインとは?
ステーブルコイン(Stablecoin)とは、価格変動がほとんどないように設計された暗号資産のことです。
ビットコインやイーサリアムのような仮想通貨は価値が上下しやすいですが、ステーブルコインは法定通貨(例:米ドル、円)や資産(例:金)に連動して価格を安定させます。
主な種類は以下の3つです。
| 種類 | 仕組み | 代表例 |
|---|---|---|
| 法定通貨担保型 | 銀行口座などで法定通貨を保有し裏付け | USDC、USDT、JPYC(新型) |
| 暗号資産担保型 | 仮想通貨を担保に発行 | DAI |
| アルゴリズム型 | 供給量を自動調整して価値を維持 | UST(崩壊例あり) |
JPYCはこのうち「法定通貨担保型」に分類されます。
JPYCとは何か
JPYC株式会社が発行する、1JPYC = 1円を目指す日本円建てステーブルコインです。
2025年8月、JPYC社は「第二種資金移動業者」として登録を完了し、法的な裏付けを得て正式な円ステーブルコインの発行が可能になりました。
JPYCはこれまで「JPYCプリペイドトークン」として存在していましたが、今回新たに発行されるのは、資金決済法上の“電子決済手段”としてのJPYC。
これにより、従来のトークンよりも法令に準拠し、安全性と信頼性が大きく向上しています。
JPYCの仕組み
① 日本円との1:1連動
ユーザーが日本円を入金すると、JPYC社が同額のJPYCトークンを発行します。
1JPYCは常に1円の価値で償還(日本円に戻す)できるよう設計されています。
② 電子決済手段型と旧プリペイド型の違い
| 項目 | 旧JPYC(プリペイド型) | 新JPYC(電子決済手段型) |
|---|---|---|
| 法的区分 | 前払式支払手段 | 電子決済手段(資金決済法改正後) |
| 送金上限 | なし(限定利用) | 1日100万円まで(規制あり) |
| 信頼性 | 民間保証ベース | 金融庁登録の資金移動業者 |
| ブロックチェーン | Polygonなど | Ethereumなど主要チェーン対応予定 |
③ 発行・償還の流れ
- ユーザーがJPYC EXなどのプラットフォームを通じて円を送金
- JPYC社が円を受け取り、ブロックチェーン上にJPYCを発行
- ユーザーはウォレットにJPYCを受け取り、自由に利用可能
- 償還時には1JPYC = 1円で現金に戻せる
JPYCがもたらす利点
① 手数料の安い円建て送金
銀行送金よりも速く・安く、数分で送金完了。
国内外のウォレット間で低コストな円送金が可能になります。
② Web3・ブロックチェーン決済への架け橋
NFT、メタバース、ブロックチェーンゲームなどで円建て決済が可能に。
「ドルベースでしか使えない」という課題を解消します。
③ 海外市場との接続性
海外プロジェクトとの取引において、日本円ベースでやり取りできるため、為替リスクを軽減。
日本企業がグローバルWeb3市場に参入しやすくなります。
④ 安全性と規制対応
金融庁登録済の発行体による運営で、資金は信託口座で分別管理。
利用者の資金が保護される仕組みが整っています。
JPYC導入で広がる活用シーン
- DeFi(分散型金融):円建てでレンディングやステーキングが可能
- NFT・メタバース:円建てでアイテム購入・サービス課金
- 法人間決済・国際取引:海外取引先への円送金をスムーズに
- 個人送金・資産保全:円価値を保ったままブロックチェーン上に保有可能
他のステーブルコインとの比較
| 通貨 | 連動通貨 | 発行体 | 主な用途 | 信頼性 |
|---|---|---|---|---|
| JPYC | 日本円 | JPYC株式会社 | 国内決済・円送金 | ◎ |
| USDC | 米ドル | Circle社 | DeFi・国際送金 | ◎ |
| USDT | 米ドル | Tether社 | 取引所決済・流動性供給 | ○ |
| DAI | 米ドル | MakerDAO | 分散型ステーブルコイン | △ |
JPYCの課題と今後の展望
課題
- 発行・償還の上限(1日100万円)による制約
- 流通エコシステムの拡大(加盟店・DeFi連携など)
- 一般消費者への認知度向上
展望
- 他の金融機関や企業との提携拡大
- Web3アプリ・ゲームでの導入事例の増加
- 将来的には「デジタル円(CBDC)との共存」の可能性も
まとめ
JPYCの登場は、日本のデジタル経済にとって大きな転換点です。
これまでドル主導だったWeb3・ブロックチェーン市場に、「日本円で動く安定したトークン」が加わることで、より安心して利用できる環境が整いつつあります。
今後の金融・テクノロジー融合の中で、JPYCは「円のデジタル化」を推進するキープレイヤーとなるでしょう。

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